かっこいい人のことを「二枚目」、お調子者の面白い人を「三枚目」などと呼びますが、この言葉はどこから来ているのでしょうか?
江戸時代、上方歌舞伎1の芝居小屋の前に、役者の名前を記した立て看板が掲げられていました。この看板の序列を『番付』といい、通常8枚から構成されています。
当時できた番付のルールでは、歌舞伎のそれぞれの役に数字を付けて意味を持たせました。そして、看板を見れば、何枚目なのかで、出演者とその役どころが分かるようになっていました。つまり、この『枚目』とは、順番によって役割の分かる『看板の枚数』のことを指しています。
〇枚目 | 役の説明 |
一枚目『主役(しゅやく)』 | 演目の主人公。「一枚看板」「座頭役者」などとも呼ばれる。 |
二枚目『色男(いろおとこ)』 | 色事や濡れ場などを担当する役。容姿端麗な優男が多い。 |
三枚目『道化(どうけ)』 | 容姿はそこそこだが滑稽な役 |
四枚目『中軸(なかじく)』 | 物事の中心となる大切な役(主役に次ぐ花形) |
五枚目『敵役(かたきやく)』 | 一般的な悪役 |
六枚目『実敵(じつがたき)』 | 憎めない善要素のある敵役 |
七枚目『実悪(じつあく)』 | 終始一貫して悪に徹する役 |
八枚目『座頭(ざがしら)』 | 座長。芝居全体を取り仕切る人 |
ここから、『二枚目』を「容姿端麗で美男子、色男」という意味で、また、『三枚目』は「普段からおどけたり、場を盛り上げたりするような、にぎやかな人」と言う意味で使われるようになりました。
- 大阪と京都を中心に栄えた歌舞伎の型や技法などの総称 ↩︎
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